地域医療を支える訪問診療への取り組み
【北海道】地域医療に取り組む石狩病院(石狩市・須江洋一院長)が、訪問診療の拡大に向け、車両購入のためのクラウドファンディング(CF)を立ち上げた。背景には地域特有の医療の課題がある。
石狩病院は病床数110床で、急な病気やけがも受け入れる病院としては、市内で規模が大きい。訪問診療を始めたのは2024年4月から。理事長で今回のCFの責任者の盛牧生さん(60)は「病院側が(地域へ)出ていく必要があった」と話す。
理由の一つは地域住民の高齢化だ。今後、慢性の病気を持ち、足腰が弱まった後期高齢者が増えていくことが予想される。通院を支える公共交通機関や除雪などのインフラが縮小するおそれもある。高齢者の暮らしを支えるためにも、盛さんは「在宅医療の充実が必要」と訴える。
また、石狩市は積雪が多く、通院の妨げになっていることも、訪問診療を通して実感した。「高齢の患者さんには玄関の階段を、杖をついてやっとの思いで上り下りする方もいる。こちらから自宅に伺うことで、非常に感謝していただけます」(須江院長)
患者の自宅を訪問すると、高齢の患者を介護する家族も高齢になる、いわゆる「老老介護」をよく見かけるという。そうした場合、訪問診療によって負担が軽減され、家族全体の生活の質が上がることもあるそうだ。
今年7月には、新たに専任の常勤医師も確保し、同院の訪問診療は3人体制になった。しかし、訪問診療車は現在1台しかない。一般的に病院の経営環境が悪くなる中で、同院でも「その費用は簡単には捻出できない」と盛さん。そこで、2台目の訪問診療車を購入するためのCFをして、地域に支援を呼びかけることにした。
目標金額は500万円。1台目よりも大型の車種の購入を予定する。須江院長によれば、「石狩の冬は地吹雪、ホワイトアウトで、訪問診療は命がけのこともある」ため、雪に強い車種でないと危険だという。他に、車に積み込む医療機器なども新しく購入する。
CFの運営会社によれば、道内の民間病院による寄付の呼びかけは珍しい。9月に開始したCFは、240人以上から500万円超を集め、11月5日に第一目標を達成。当初の期限である12月5日まで「ネクストゴール」として追加で150万円を募る。追加分は訪問診療に使用する医療機器や医療従事者の防寒具の購入に充てるという。盛さんは「やがては誰もが関わる課題について、地域のみなさんにも知ってもらって、ともに地域の医療を支える形がつくれれば」と語る。
申し込みはCFサイト「READYFOR」(https://readyfor.jp/projects/ishikari-hospital)から。
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