プラスチックごみ問題~取り返しのつかない事になる前に!~
皆さまこんにちは。
札幌は雲と風がありますが、比較的過ごしやすい天候かと思いますが、九州熊本地方を中心に大雨による水害のニュースを見て台風被害を思い出しました。
皆さまの近親者、知人、友人は大丈夫でしょうか?
この半年間はほぼ毎日「新型ウイルス」関連の報道がトップでしたが、今回の大雨が災害をもたらし、連日ニュースで状況が伝えられています。また非難したくても避難所での3密を恐れて非難したくない!と言う方も居らっしゃるのではないでしょうか。
とにかく災害やウイルスなどの状況が一刻も早く収まる事を願います。
さて、本日は昨日お話しした「プラスチックごみ問題」についてNHKさんの記事を抜粋致します。
1からわかる!プラスチックごみ問題(1)
2020年07月01日
プラスチックのストローを鼻につまらせて苦しむウミガメの映像を見たことがありますか? 2050年の海は、魚よりもごみのほうが多くなるかもしれない…冗談ではないホントの話です。7月1日から全国の小売店で原則、プラスチック製のレジ袋を有料にすることが義務化されました。私たちの未来に関わる「プラスチックごみ問題」。1からまとめて聞きました。
(2019年6月28日初稿 2020年7月1日一部変更)
土屋敏之解説委員は科学番組のディレクター出身。「ためしてガッテン」(現「ガッテン!」)、「クローズアップ現代」(現「クローズアップ現代+」)などを担当してきました。現在は、科学や環境問題を担当する解説委員を務めています。
本当はとっても怖い…? プラスチックごみ
最近一番クローズアップされているのは「海洋プラスチック」の問題なんです。
世界では年間約800万トンものプラスチックが、ごみとして海に流れ込んでいるとも推計されています。
東京スカイツリーおよそ222基分、ジャンボジェット機5万機分にもなります。
このペースで海のプラスチックが増えていくと、2050年には、海にいる魚すべての重量よりプラスチックの方が重くなると言われていて、「プラスチックの海」になってしまうのではないかと懸念されています。
環境中に捨てられたプラスチックごみは、川から海へと至り、波の力や紫外線の影響などで細かく砕けていく。5ミリ以下になったものはマイクロプラスチックと呼ばれ、世界中の海に存在しているんです。
そう。環境中で自然に分解されることはなくて、半永久的にたまり続ける可能性がある。このマイクロプラスチックが、近年、魚や海鳥の体内から大量に見つかっているんです。
海の小さな生物がプラスチックをとり込んで、それが食物連鎖で魚や海鳥にとり込まれて検出されているということなので、こうした食物連鎖を通じて私たちの体内にも蓄積しているのではないかと懸念されている。
実際去年、オーストリアの研究グループが日本人を含む世界8か国の人の便を調べたら、全員の便からプラスチックが検出されたんですよ。
最近では、WWF(世界自然保護基金)が、「1週間に1人平均5gのプラスチックを体にとり入れていると見られる」という報告を出しました。
プラスチックは私たちの体の中にもすでにたまり始めていると見られています。
病気になったり命を奪うかというと、まだ研究の途上で具体的なことはよくわかっていないんです。影響がないか今まさに各国の研究者が調べているところで。
ただ、そもそもプラスチックは食べることを想定して作っているものではないので、少なくとも体にいいはずはないと思います。
特に海に浮かんでいるマイクロプラスチックは、海水中の有害物質が吸着しやすい性質があることがわかっていて、それが濃縮されていくと、人体にも恐らく有害だろうと。
仮に将来、人体に深刻な害があるとわかったとしても、体の中に入ってしまったものはもう取り除けない。
海に広がったマイクロプラスチックを後から回収することはほぼ不可能なので、プラスチックごみ自体を今のうちに減らしていく必要があるというのが最近の流れなんですね。
発がん性物質などの有害物が体内に蓄積していくことも考えられる。高濃度になっていけば、いずれ種の絶滅にもつながるなんていう可能性もなくはないかもしれません。今はまだそういう報告はありませんけどね。
そもそも、皆さんはプラスチックって当たり前のものだと思うけど、プラスチックがこれほど大量生産されるようになったのは、実はこの半世紀のことなんですよ。
急激に生産と消費が増えたので、環境中に出たり、体内にたまったりした場合にどうなるのかは、実はまだちゃんと検証されていないんです。
プラスチックって軽くて変質しにくいでしょう。食品を保存するときは、タッパーで冷蔵庫に入れておくと長持ちするとか、とても便利ですよね。原料は石油で簡単に量産できるし、量産で安くなる。だからこれだけ使われてきたんですよね。
まず、原料が石油なので、化石燃料を大量消費するし、処分するときも、燃やすと石油を燃やしていることになるので、地球温暖化が進みますよね。
あと、ニュースなどで有名になったウミガメが鼻にストローをつまらせて苦しむショッキングな映像がありましたよね。
海の生物にはこうした直接的な被害も出ています。海鳥なんかは海面に浮遊しているものを魚と間違えて食べてしまうことがよくあるんですよ。レジ袋は浮くし、やわらかいので飲み込んでしまって、それで息をつまらせて死んでしまう。
タイの海岸に打ち上げられたクジラの胃の中から80枚あまりのプラスチック製の袋が見つかったこともありました。
街角でポイ捨てされたものも一部は海のごみになります。
たとえば渋谷の街でポイ捨てされたペットボトルを例にすると、雨と一緒に側溝に流れ込んで川に流れていく。それがやがて海に流れ込む。
東京の荒川で毎年清掃活動を行っているNPOがあるんだけど、毎年数万本単位のペットボトルを回収しているそうです。毎年取っても取ってもそれだけ出てくるんです。
でもそれってみんなが川べりに行って捨てているわけではないから、多くが街なかに捨てられたものなんですね。
屋外で使われているプラスチックの屋根やビニールシートが紫外線などの影響で劣化して、マイクロプラスチックになって浮遊して海に流れ込んでいるとも考えられていますし、あと多いのが漁網などの漁業関係のプラスチックですね。
至るとこでプラスチックが使われていて、時間とともに風化したり劣化したりして削れていく。そうしたものが捨てられたものと合わさって、いろんなところから海に流れ込んでいるんですね。
今から対策をすれば、次の世代は救えるかもしれないけど、すでに取り返しがつかないことになっている可能性もあります。
被害がまだ直接出ていない環境問題に手をつけるというのは本当に難しくて、地球温暖化対策がずっと進んでこなかったというのも同じ理由なんですけど。
被害がまだ目に見えなかった時代、「はっきりした被害は出ていないけど、こうなるのではないかと懸念されています」というだけでは産業界は動かなかったんですよ。
でも去年の西日本豪雨が温暖化との関連が指摘されているみたいに、目に見えて気温が上がって気象災害が増えてきたので、温暖化の被害を否定する人は、今はもうほとんどいなくなりました。
プラスチックは、そういう意味では温暖化より少し前の段階だよね。まだ目に見える被害を私たちは受けていないのに、企業や国家レベルで対策を打てるかというと難しい面がある。
ただ、やはり体内に入れてしまった物質というのは、ある意味、外からの温暖化とはまた違った怖さがあるので、今のうちからできる対策はしていくべきだと思いますね。
1からわかる!プラスチックごみ問題(2)~未来のためにすべきこと~はこちらからご覧ください。
日本のプラごみ処理の実情は
家庭ごみと事業ごみを合わせたプラごみ全体の数字ですが、こうなっています。
日本の産業界などは、「日本はプラスチックごみの有効利用率が高いリサイクル先進国です」ということを言っています。
で、統計上、確かに日本で900万トン以上排出されているプラごみの80%以上は何らかの形で有効利用されているという数字になっています。
なぜこういう言い方をしているかというと、有効利用って言ってもね、僕らが分別してお菓子の袋とか出すじゃないですか。それがまたプラスチック製品にリサイクルされているとかではないんですよ。
でも実は、日本で有効利用、リサイクル…プラスチックリサイクルと言っているものの大半はサーマルリサイクルと業界が呼んでいるものなんです。
要するに、燃やして一部その熱を使いますという意味です。よくゴミ焼却場の隣に温水プールがあったりするでしょう?あれです。
あれがサーマルリサイクルと呼ばれているもので、有効利用と言っているものの大部分が燃やした熱などを利用しているにすぎないんです。
逆に有効利用ではないものは何かというと、単純に燃やすだけとか、単純に埋め立てるだけのもので、10数%しかない。
こういう統計では、単純に捨てるだけでなく、何らか利用していれば有効利用の中に入れるんですけど、実はこのサーマルリサイクルというのはほとんど造語・日本語英語的なところがあって。海外ではこれをサーマルリカバリーと言うことが多いんです。
つまり、熱回収。確かにそのほうが正確に表していると思うんだけど、燃やしてエネルギーを1回使って終わりでしょう。何回も使ってはいない、つまり「リサイクルしている」サイクルに入っていない。
こういうのは国際的にはリサイクルの中には入れないのが一般的なんです。
あと、石油から作られたプラスチックを燃やすと、二酸化炭素を増加させて地球温暖化につながりますよね。温暖化対策までを含めた視点で見たときには、決して望ましいことではないのも事実なんです。
日本のプラごみの処理をめぐっては、さらに大きな問題がもうひとつあるんだけど、中国がごみの輸入を禁止したという話は聞いたことありますか?
実は日本で「有効利用」と呼んでいるものの残りの多くは海外輸出なんです。
輸出というか引き取ってもらうというか、お金が動くので輸出と言っているんですけど。
プラスチックの原料の石油はそれなりの値段がします。だけどプラスチックごみは処分したいものだから非常に安く手に入る。
ごみ発電所の中に入れれば燃料になる。石油として使えると。また、人海戦術で種類ごとに分けて、溶かしたり粉砕してペレット状にしたものから再生プラスチックを作ったり。そういう形で再利用しているので、日本は「これはリサイクルです。途上国にちゃんと協力しています」と主張している。
ただ現実には、容器や包装などのプラごみって、分別はしていても、お菓子が中についていたり、ペットボトルの中身が少し残っていたりするよね。そうした汚れたものはリサイクルにまわせない場合が多いんですよ。洗浄にコストがかかってしまうから。
ただでさえ途上国はごみのリサイクルシステムがちゃんとできていないので、使えないと思ったものはそのまま捨ててしまう。「使えるものだけリサイクルしてあとは捨てちゃいます」という途上国に、日本はごみを供給し続けているんです。そうするとどうなるか…。
これは、プラごみを海にどれだけ流出させているかを示すランキングなんだけど。
日本は30位。1位が中国、2位以下は東南アジアの国々ですけど、実は上位を占めているのは日本がプラごみを輸出している国なんです。
中国や東南アジアがプラごみ問題の原因を作っていると言われているけど、そのプラごみがどこから来たのかというと、日本やアメリカやヨーロッパなんですよ。
プラごみの海外輸出は、処理体制が整っていないアジアの途上国に実質的に押しつけているのと同じで、海への流出を加速させることにつながると懸念されているんです。
そうなんです。日本は1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界2位。日本こそがまさにこの問題の当事者だということをちゃんと理解してほしいですね。
それで最近、「バーゼル条約」というごみの輸出を規制する国際条約で、汚れたプラごみの輸出入を制限しましょうということが決まったんです。
先進国から途上国へのごみ輸出が海洋プラスチック問題を生んでいるのだから、それを規制する必要があるということでようやく世界が合意したんですね。
このバーゼル条約にさきがけて、世界最大のプラごみ輸入国だった中国も、環境汚染などを理由に2017年から輸入規制を始めていて、日本やアメリカではプラごみの行き場がなくなりつつあるという影響が出ています。
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